コラム Information

料理で旅するgo to 世界旅行～ドイツ～／木村みえこ

東京2020オリンピック競技大会が開幕して1週間近くが経ちました。応援している選手やチームは順調に勝ち進んでいるでしょうか。開催が1年延期になっても、世界のいろいろな国の選手の姿に元気がもらえますね。また、そんな選手たちの国ではどんな料理が食べられているのかも気になります。

今回は、幼いころに憧れた童話の世界を思い起こさせてくれる国、ドイツの料理を紹介しながら旅行気分を味わっていただこうと思います。献立に困ったときの助けになると嬉しいです。

ちょっとおとなの肉巻き「rinderrouladen(リンダーロウラーデン)」

日本の料理で例えると野菜の肉巻きです。牛肉にマスタードを塗ってピクルスやたまねぎ、ベーコンを巻き爪楊枝で止めて、こんがり焼き色を付けます。それをたっぷりの野菜、トマトソース、赤ワインでじっくり煮込めば出来上がり。
コトコト煮込むことで肉と野菜の旨味がとけあって味わい深くなります。季節の野菜や好きな野菜をたっぷり入れてうま味たっぷりのソースでいただきましょう。

家で作るときは、その日の気分に合わせて肉や野菜の種類を変えると、栄養素や味のバリエーションも増えます。付け合わせはクヌーデルというじゃがいもを団子にしたもの。これを添えるとワンプレートで五大栄養素のバランスが整います。この季節は食欲が落ちてしまいがちですが、肉などのメインディッシュをしっかり摂って夏バテを予防しましょう。

ドイツ版カツレツ「schnitzel(シュニッツェル)」

日本のカツレツとは違ってお、肉を薄くの伸ばして衣をつけて揚げます。薄く大きいので食べやすく、小さな子どもからお年寄りまで幅広い年齢の人たちに好まれる人気の国民食です。

牛肉を使ったり豚肉を使ったり、ソースを添えたり添えなかったりとアレンジ自在。ソースは地域や家庭、お店によってホワイトソースやブラウンソース、パプリカを使ったものなどバラエティに富んでいるので飽きずに楽しめます。
付け合わせはポムフリット（フライドポテト）やブラートカルトフェルン（ジャーマンポテト）が一般的です。お肉とじゃがいもの組み合わせが、いかにもドイツといったイメージですね。

週末は、いつものお肉をシュニッツェルにして、ビールをお供にオリンピック観戦も楽しそうですね。この季節はトマトやなす、オクラやかぼちゃなどの野菜をたっぷり使ったスープを添えるとビタミンやミネラルがしっかりと補えて、体の調子が整いやすくなります。

ほっこりシチュー「gulasch(グラーシュ)」

もともとはハンガリー料理でドイツやオーストリア、スイスでよく食べられているビーフシチューのような料理です。通常はパプリカパウダーを使いますが、家庭によって味が違います。まるで日本のみそ汁のような存在です。

たまねぎ、にんじん、じゃがいものほかに季節の野菜や好きな野菜を加えるとオリジナルのグラーシュが出来上がります。日本でも手に入る食材やスパイスで簡単に作れるので、みそ汁を作る感覚で作ってみましょう。シュペッツレというニョッキよりも少し小さめのパスタを添えたり、パンの中に入れて一緒に食べるとおいしいです。ワンプレートで栄養素のバランスが自然と整うのも嬉しいポイントですね。

いかがでしたか。オリンピックを観戦しながら、世界の食文化に思いを馳せるのも一つの楽しみ方かもしれません。
世界の料理をヒントに地元の食材を使って、おいしい料理を作ってみましょう。レパートリーが広がり食卓の雰囲気も変わります。食品の栄養素だけでなく、好きな料理を食べることが心の栄養になります。自粛期間のストレス解消に役立ててください。

担当管理栄養士：木村みえこ

参考文献

三城円「食べながらやせるすごい方法」サンマーク出版（2019）
荻野恭子「世界の味をおうちで楽しむ旅するスープ」ナツメ社（2019）
沼野恭子「世界を食べよう！東京外国語大学の世界料理」東京外国語大学出版会（2018）
佐藤政人「世界のスープ図鑑」誠文堂新光社（2020）
地球の歩き方編集室「地球の歩き方ドイツ」地球の歩き方（2019）
YOUNG GERMANY，ドイツ大使館，『ソーセージ以外のドイツ料理10選』｜ドイツ大使館 − Young Germany Japan (young-germany.jp)（2021.7.19閲覧）