「やせている=健康」は大きな誤解!アラサー女性のやせすぎの健康問題/小園幸
こんにちは。アラサー管理栄養士の小園幸です。
毎年、夏になると見た目を気にしてダイエットを始めるアラサー女性も多いのではないでしょうか?しかし、極端なダイエットによって「やせ」の女性がいることも問題となっています。
今回は、アラサー女性のやせすぎから起こる体のリスクについてお伝えします。
やせているから健康とは限らない?!やせすぎから起こるリスク
そもそも「やせ」の基準は、日本肥満学会でBMI※が18.5未満のものとされています。厚生労働省の国民健康・栄養調査(令和元年)によると、20歳代女性の約20.7%がBMI18.5未満の「やせ」(低体重)とされています。
※BMI(Body Mass Index/体格指数)=[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出される値
20歳代女性に「やせ」が多い原因の一つとして、雑誌やテレビなどでダイエットを売りにした情報が多い現状が考えられます。また、インスタグラム等SNSの影響もあり、適正な体重であるにも関わらず、もっとやせたいと「やせ願望」に陥ってダイエットをする人たちが多いのです。
20歳代女性に必要とされる1日のエネルギー必要量は約2000kcalとされています。しかし実際は、平均エネルギー摂取量(令和元年)は約1600kcalにとどまり、エネルギーの摂取不足が考えられます。
具体的に、若い女性のやせの健康リスクはつぎの2つが挙げられます。
●貧血や月経異常、冷えなどの症状
極端にエネルギーの摂取を制限したり、特定の食品のみを食べるようなダイエットは、体にとって必要な栄養素が不足し、貧血や月経異常、体の冷えなど様々な症状の原因となります。そして、食べないことで筋肉量が減り、代謝がどんどん低下していきます。そうするとエネルギーが体脂肪として蓄えられやすくなっていき、健康問題のリスクが高まります。
●将来の子供に影響がある
世界保健機関(WHO)で出生体重 2500g 未満を低出生体重児と呼んでいます。日本では低出生体重児(2500g未満)の割合が2011年以降、横ばいとなっています。しかし低出生低体重児は集中治療室での治療(NICU:母体・胎児集中治療室)、退院後の医療ケアなどが必要となり、とくに最近は在宅医療が必要な子どもは増加傾向にあります。
低出生低体重児の背景はさまざまですが、原因のひとつに若い女性の「やせ」があると考えられます。
低栄養でやせの女性が妊娠した場合、生まれてきた子供が将来、肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病になるリスクが高くなることも考えられます。そのため、妊娠する前から適正体重を維持することが大切です。
若い女性の「やせ」を解消するには
そこで「やせ」を解消するための食事ポイントをお伝えします。
●1日のスタートに体を燃やす!朝ごはんを食べる
成人における朝食欠食率は、男女ともに20歳代で最も高くなっています。エネルギーとは車で例えると「ガソリン」の役割があります。「ガソリン」が不足すると、細胞やホルモンを作ったり、体を温めたり動かすエネルギーが足りないため、「やせ」や疲れ、不調が起こります。
そこでまず重要なのは、朝ごはんを食べること。エネルギーや栄養素の補給により体内で熱が生み出されるため体温が上がり、体をスムーズに動かすためのエンジンがかかるため、1日をスムーズに過ごせるようになります。また朝ごはんでのエネルギーは生活の中で使われるため、太ることを心配する必要もありません。むしろ朝ごはんをしっかり食べている人の方が朝ごはんを食べない人に比べると、ダイエットの成功率は高いといわれています。
●食事のバランスを整える
「○○制限」や「○○だけ摂ればいい」といった方法は食事バランスが偏り、疲れやだるさなど体の不調を起こす原因となります。糖質やたんぱく質など栄養素で考えると食事が単なる「栄養補給」になりがちなので、主食、主菜、副菜が揃った食事を意識してみましょう。具体的には、ご飯、おかず、味噌汁といった定食をイメージすると自然と栄養素のバランスが整いやすく、満腹感も得られます。
食事の量を減らして無理に体重を減らそうとするのは危険です。自分の適正体重を知って、それに見合った食事量をバランスよく摂ることで食事を楽しみましょう。自身の適正体重や食事量にお悩みの方は、パーソナル管理栄養士にご相談くださいませ。
担当管理栄養士:小園幸
参考文献
担当管理栄養士:小園幸
参考文献
- 伊藤貞嘉・佐々木敏「日本人の食事摂取基準(2020年版)」第一出版(2020)
- 林茉美,若い女性の「やせ」や無理なダイエットが引き起こす栄養問題,(2023.7.23閲覧)
- 厚生労働省「令和元年 国民健康栄養調査結果の概要」(2023.7.21閲覧)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「BMI」(2023.8.2閲覧)
- 厚生労働省 平成30年度子ども・子育て支援推進調査研究事業 「低出生体重児保健指導マニュアル」みずほ情報総研株式会社,(2023.8.2閲覧)