快適な睡眠には食事が鍵!〜管理栄養士が指南する健康のために大切な3つのこと〜/小園幸
こんにちは。アラサー管理栄養士の小園幸です。
突然ですがあなたは普段、睡眠を何時間くらいとっていますか?
実は、睡眠時間が極端に短いと将来、肥満や高血圧、糖尿病、認知症、うつ病などの発症リスクを高めることが、近年の研究で明らかになっています。睡眠時間を確保するということは、健康的に生きていくために必要なことですが、睡眠は「食事」とも大きく関わりがあります。
健康のために「食事」と「運動」を意識しがちですが、「睡眠」も大切な要素です。
睡眠の量と質を見直そう
令和元年の国民健康・栄養調査では、労働世代である20歳〜59歳の各世代において、睡眠時間が6時間未満の人が約35〜50%を占めています。また、睡眠時間が5時間未満の人に限定しても、約5〜12%と高率です。
現代、夜遅くまでの残業や長時間通勤、インターネットをして夜型生活をすることで生活習慣が乱れ睡眠不足の人が増えています。そして、睡眠時間は取れているけど睡眠の質が悪く、ぐっすり眠れていないという人も。
睡眠の質を高めるためには、食習慣を見直し、体内のホルモン分泌や自律神経を整えることが必要です。人生の3分の1は眠って過ごすと言われています。生きるために欠かせない「睡眠」と「食事」についてもう少し見直してみませんか。
快適な睡眠のために!食事でできる3つのポイント
将来の健康のために睡眠の質を高め、ぐっすりと眠るためには「食事」が大切です。
今回は、快眠のための食事について3つにまとめました。
⚫︎朝ごはんは食べたほうがいい?
朝食をとることは、体内時計の調整に関係しています。1日を気持ち良く過ごし、夜になると自然と眠くなるようにするためには朝食を摂ることが大切です。1週間程度の期間、朝食を⽋食することで体内時計が後退することが報告されています。朝食を⽋食すると、体内時計の後退に伴い寝つきが悪化し、睡眠不足を生じやすくなるのです。
ただし、菓子パンやスムージーのみといった単品の食事は栄養素が偏りやすいので、サンドウィッチとスープ、具入りのおにぎりと味噌汁など主食とたんぱく質が入ったおかず、野菜を取り入れることを意識しましょう。
⚫︎寝る前の食事は睡眠に影響する?
寝る直前の食事は、朝食⽋食と同様に体内時計を後退させ、翌朝の睡眠休養感や睡眠の質を低下させます。さらに、寝る直前にたくさん食べると、就寝中も胃が消化活動で働き続けるため、脳が興奮してなかなか寝付けず眠りが浅くなりがちです。
どうしても夕食の時間が遅くなってしまう場合は、2回に分けて食べる「分食」をしましょう。分食とは、おにぎりなどの主食を夕方に摂り、帰宅後の遅い時間におかずなどの副食を軽く摂ることです。体内時計が乱れにくく、睡眠への影響も比較的小さいといわれています。
⚫︎カフェインは何時から避けたほうが良い?
カフェインは覚醒作用を有するため、寝つきの悪化や中途覚醒の増加、眠りの質を低下させる可能性があります。脳波を用いて睡眠を客観的に評価した研究によると、1日に摂取するカフェインの量が増えれば増えるほど深い睡眠が減少し、中途覚醒が増え睡眠効率が低下し、睡眠時間が短縮することが分かっています。
さらに、カフェインはむずむず脚症候群や、歯ぎしりなどの睡眠障害を発生・悪化させるリスクを有しているとの報告があります。カフェインが睡眠に及ぼす影響には、摂取量とともに、摂取するタイミングにも関わります。
良質な睡眠を確保するためには、カフェインの摂取総量を減らすとともに、夕方以降はカフェイン含有食品・飲料の摂取は控えることが推奨されます。夕方以降は、コーヒーや紅茶、エナジードリンクなどカフェインが多いものは避け、なるべくカフェインを含まないハーブティーやルイボスティー、麦茶などに置き換えるのも良いでしょう。
「食事」と「睡眠」は大きく関わりがあることが分かりました。ただ、眠るだけではなく将来の健康のためにも眠りの質を良くするための食事を意識してみましょう。
参考文献
- 健康づくりのための睡眠ガイド2023,(2024.4.19閲覧)
- 眠りのメカニズム,三島和夫,(2024.4.19閲覧)
小園幸執筆コラム
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